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支援事例

京都の樹脂加工企業による、デザイン思考を取り入れた第二創業期の変革プロジェクト
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社名
有限会社グッドウッドKYOTO
URL
https://goodwood-kyoto.com/
事業内容
樹脂・ゴム切削材料、樹脂・ゴム切削加工部品の製造

京都の樹脂加工企業による、デザイン思考を取り入れた第二創業期の変革プロジェクト

~社外との協創を通じて、モノづくりからコトづくりへ~

登録日 2024.03.12
ご取材先

代表取締役社長 辻本 裕哉

大学卒業後、海外の野球団に所属。帰国後、父親が経営する同社へ創業5年目のタイミングで入社。人事や財務、経営面の強化に注力し、専務を経て2023年9月(創業25年目)より代表取締役に就任。「まずはやってみる」の精神を大事に、同社へ新しい風を取り入れながら事業拡大を目指す。

  • 課題

    顧客の発注に沿ったモノづくりだけでなく、顧客の課題を解決する「コトづくり」へ事業拡大を検討している中で、事業やサービスを経営視点でデザインしていくノウハウが社内に不足していた。

  • 成果

    自社の強みを活かしたアイディア創出、及び「なんつくプロジェクト※1」の取り組みを実現し周囲より大きな反響を呼ぶ。現在も、京都試作センター主催のセミナーを通じて、なんつくプロジェクト進化版を検討するワークショップを実施するなど、更なる拡大に向けた取り組み準備へと繋がっている。

    ※1「なんつくプロジェクト」:樹脂や木で作ってみたい・作ってほしいものをユーザーより募集し、同社が無償で制作するプロジェクト。

専門家

プロ人材

moco*design 船本あやこ (ふなもと あやこ)

大日本印刷のグループ会社にてカタログ、雑誌などのDTPデザインを担当した後、デザイン会社にてパンフレット作成、パッケージデザインに従事。広告代理店でアートディレクターをした後、現在は独立し、学校でデザイン講師を行いながら、フリーデザイナーとして活躍中。

モノづくり思考にとらわれず、事業に新たなクリエイティビティを

どのような想いで代表に就任されたのでしょうか?

弊社は樹脂・ゴム部品を工作機械で削る事業をメインに展開しています。ただモノを作るだけでなく、顧客の困っていることを解決するサービスにしたい。そんな想いが強くありました。

お客様からも「やりたいことをどう実現すればいいのか、設計や図面化する部分から手伝ってもらえないか」という相談が増えてきており、これまでは発注に対応することで精一杯でしたが、顧客へ自ら提案していく体制・人員確保が求められていました。

一番の課題はどこにありましたか?

「一般社団法人京都試作ネット」というモノづくり企業の経営者のコミュニティがあり、そこで意見交換をする中で、モノづくりのバイアスで凝り固まっていると新しいクリエイティブな事業は生み出せないということに気付きました。

周囲にはデザイナーを新たに雇用し、経営・事業にデザイン性を取り入れる企業も増えていましたが、会社規模やお願いする仕事を考えると社員として雇うほどでもなく、どうしたらいいものか・・と悩んでいましたね。専門家と繋がる場があればなぁと。

まさに我々の出番ですね!(笑)Bizlink プロシェアリングを知った最初のきっかけは何だったのでしょうか?

東京の展示会に参加した際に、担当者に声をかけられ、ちょうどそんな状況だったのでまずは話を聞いてみようと思いました。派遣など短期的に人材活用できる方法も知ってはいましたが、具体的に動けてはいなかったので、良くなければ断ればいいかなくらいの感覚でした。

どのような経緯で活用に至ったのでしょうか?

何かモノをデザインしてほしいというわけではなく、経営視点で外部からアドバイスや助言が欲しいとこちらの要望を伝え、3名ほど面談させてもらいました。正直「あれ?」という人もいましたが(笑)、船本様は一貫してデザインに長けていらっしゃり、対面で一緒に会話しながら進められるという点が良いなと思い、まずは活用してみようとなりました。

自社だけではこのような方と繋がることもできず、このままだと何も変わらないので「やってみよう」という想いの方が強かったですね。

Bizlink プロシェアリング』を活用し、社内にない新たな視点・発想力が生まれる

参画後の活動内容について、お聞かせください。

まずは会社や事業の全体像を理解してもらうことから始めました。事業内容や製造設備などを理解してもらう場を設け、壁打ち・ディスカッションを通じて何ができるかを検討していきました。

私からは「我々に寄せてもらうのではなく、新しい視点でのアドバイスや、これとこれを組み合わせたら面白いのではという新たな気付きを指南してほしい」とお伝えしており、最初の1~2か月目でいくつか出していただいたアイディアはまさに自社内では出てこないようなアイディアだったので、とても興味深かったですね。

具体的にどのようなアイディアだったのですか?

これまで、顧客からの発注ベースか、社員が欲しいものを時々製造しているといった状態でしたが、「社会が欲しいものは社会に聞かないとわからないですよね」と仰られたんです。その通りだなと思いました。

そこで、無償(タダ)でなんでも作ります=「なんつくプロジェクト」を立ち上げ、ユーザーから幅広く情報を集めて社会のニーズを取りに行こう。と決めました。企画が固まった後は、チラシ、SNS発信、宣伝用画像などの制作やデザインも担っていただきました。

外部人材を適切に活用しノウハウを内製化今後の事業拡大を創る選択肢の一つに

※「なんつくプロジェクト」の宣伝用画像。周囲からの反響も大きく、多くの応募が集まった。

とても面白いアイディアですね!どのような成果に繋がったのでしょうか?

まず純粋に反響がめちゃくちゃありました(笑)「面白いことやってるね!」と言われる機会が多かったです。

成果としては応募いただいた中からアイディアを1つに絞り、実際に製造に向けて着手することができました。色々と障壁も多くまだ完成まで至ってはないですが、企画やアイディアの出し方や考え方を学ぶことができたのは大きかったです。

他にも続いている取り組みはあるのでしょうか?

京都試作センター主催のセミナーで、なんつくプロジェクトの進化バージョンを検討するワークショップを実施して、更なる拡大に向けた準備を行っています。その中で、芸大生を中心に多様なアイディア交換を行い、若い人達のアイディアや情報を収集することもできています。これも「なんつくプロジェクト」がきっかけとなり、自社内で継続できている取り組みの一つです。

専門家のノウハウが自社内に定着しているのですね。そんな御社の今後の展望をお伺いできますでしょうか?

今継続しているプロジェクトを通じて、最終的に自社のプロダクト・商品を生み出していきたいなと考えており、会社規模も30~40名へ拡大できればと思っています。その過程の中で、自社内で対応するほどの仕事量ではなかったり、初めてやってみることが出てきますよね。そのとっかかりとして、こういった人材活用の在り方が適していると感じているので、今後も検討していきたいと思っています。

ありがとうございます。最後に、外部人材活用を検討されている企業様へぜひ一言お願いします!

「まずはやってみる」何事もやってみないと分からない、というのが私の考え方です。とりあえずやってみて、難しそうだったら辞めるという選択肢が取れるのもこのサービスです。

トライ&エラーをしながら少しでも前に進んでいくことが、大事だと思っています。

専門家より

本支援への参画の決め手を教えてください。

普段から企業のノベルティデザイン作成や、デザイン学校でグッズデザインのゼミ・授業を受け持っていたので、ものづくりとして通じるものがあり、私のアイデアが何か形になればと思い参画を決めました。また、これまで関わったことのない業界だったので興味もあり、面白そうと感じたことが大きかったです。

支援にあたり、大事にしていたことはありますか?

BtoB、BtoC、どちらにもアプローチできるものを目指して企画を考えました。

toBは、企画を通して何でも柔軟に対応してくれる会社だと感じてもらうこと、発注までのハードルを下げ気軽に相談できること、をアピールできるように工夫しました。

toCは、一般の方だと普段ほぼ接する機会がないであろう業態なので、誰にでも伝わり興味を持ってもらえるよう、柔らかい表現を意識しました。

活動を通じて感じたことや想いを教えてください。

社長がとてもアクティブな方で、こちらがアイデアを出した際に「面白いですね!やってみましょう!」と肯定してくださり、私もアイデアを出すのが楽しく、期待に答えたいという気持ちで活動することができました。また、企画をオープンにした際に、面白いことやってるね!と周りから声をかけてもらう機会も多く、純粋に嬉しかったですね。